山本理顕設計工場×横浜国立大学大学院Y-GSA|ユルツナ大学

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 このように“何かをしようとしたときに受け止めてあげる空間”であることがとても重要で、ここに住む人たちをある生活パターンに強要してはいけないと考えています。住宅であれば「住宅である事しか許しませんよ」、オフィスだったら「働く事しか許しませんよ」という空間でなくて、色んな事を柔軟に許容してあげる。そういう空間が高齢者も住みやすく、子どもも育てやすいことに繋がってくると思います。

 また、この容積貸しをサポートするシステムも必要だと思っています。例えば空いているキューブの情報をコンピューター管理して、貸したい人と借りたい人とをマッチングさせるなどきめ細かくサポートしていけば、有効に活用されるはずです。

 次に大きな共用部というのも大きなポイントだと思います。そこには共有のミニキッチン、シャワー、トイレなどの水回りが用意されているのですが、先程のキューブは、この共用部に寄り添って構成されます。家族構成や同居者の構成によって、柔軟にキューブと共用部を構成し、様々なコトやモノをシェアする暮らし方が生まれてくると思っています。

 あと、容積貸しするキューブは規格化して量産効果を狙った設計にしています。キューブを3つつなげたものが一般のコンテナと同じサイズで、トラックにそのまま乗せられるように設計しています。パネルも企業間でコスト削減などが図られれば、より導入しやすくなるでしょうね。

Q:今、研究されていらっしゃいます「地域社会圏」の狙いを教えていただけますか?

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 エネルギーに関して言えば、「コ・ジェネレーションシステム」の導入を想定しています。同一拠点で大量発電をする方法ですと送電中に50%以上もの熱が失われるのですが、「コ・ジェネレーションシステム」のように“発電する場所と熱を消費する場所が一緒”だと、お湯を沸かすなど熱エネルギーを無駄なく使うことができます。ただ、一つの家庭だとなかなかその熱エネルギーを使いきれません。ある程度、人が集まればより効率的に熱を使うことが出来るのですが、スパやランドリーやレストランなども含めた一回り大きい単位で活用を想定すれば、少し大きめの「コ・ジェネレーションシステム」を導入し最大限のスケールメリットが出せるように思います。

 あとは、地域住民が何でも相談できるような24時間営業の「生活コンビニ」のようなものも想定しています。生活用品、情報発信の掲示板、24時間営業のカフェバー、介護施設、保育施設、診察室などが集まった場所です。

 ここではアルバイトをしながら地域を支える生活サポーターが働いています。例えば、住人の中で自分の特技や昔の経験を活かした活動をしたいという人に、生活サポーターとして活動頂く。そうした住人をつないでくれる場所として機能させたいですね。特技といっても、家事が出来るという専業主婦の方でも良くて、ちょっとしたお小遣い稼ぎにもなるはずです。アルバイトをしたいけど、どこに行けばいいかわからないといった高校生や大学生が来てもいいと思います。

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 介護には生活援助といって買い物代行や窓拭きなど一般の方でも出来るような作業があります。そういったことを生活サポーターに担ってもらえるような仕組みが出来ないかと考えています。介護保険の削減にもなりますし、地域での雇用も生まれます。それをもう少し拡げていくと、例えば電球が切れたけど腰が痛くて届かないという何か困った時に、相談できて適切に人が派遣できるようになればいいなと思います。あと診察室は「ファミリードクター」というキューバの医療システムを参考にした定期的に健康診断をする予防医療をしようと考えています。

 あとは地域内の移動手段として「コミュニティービークル(以下 CV)」を検討しています。例えば、お母さんが子ども二人連れて自転車で買い物に行った時、トイレットペーパー買ったら荷物が乗らなくて帰れない筈という素朴な疑問から考えて、子供が安全に乗せられて、しかも荷物もしっかり入るものを検討しています。また、地域内にはCVや自転車などの専用道とバッテリーを交換できるCVステーションといったインフラを整備します。これらのインフラは建築内部にまで整備されています。インフラとモビリティは統合的に考えてこそ有効に活用できるものと思っています。

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