スマートコミュニティ 山内成介さん|ユルツナ大学

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Q:「スマートコミュニティ稲毛」のポイントはなんでしょうか?

LinkIconスマートコミュニティ稲毛 訪問レポート「新たな暮らし方のメッセージ」


 「お金の不安」と「心の不安」を同時に解消するために考えたのが“千人規模で人が集まり暮らす”ということなんです。収入が半分、あるいはそれ以下になっている人達ばかりなので、モノだけではなくサービスを含めた生活コスト全体を半分にしていかなくてはならない。例えばモノの値段は生協など共同購入することで安くなるのと同じように1,000人規模にすることで、全てのコストを半分程度にしていくわけです。

 ここではアクティビティも入れて月々8万9,000円。食事の部分だけで言えば4万円台でやっていこうとしています。当社の食事は「なだ万」さんとやっていますが、毎日「なだ万」さんの食事というのも通常の日常生活では考えられないですよね。どうしてこういうことができるのかというと、例えば「なだ万」の料理長さんの年収が500万だとします。それを1,000人で割ると1人年間5,000円、月にすれば1人450円程度になります。

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「スマートコミュニティ稲毛」で提供されている「なだ万」のお食事です。とても美味しそう。

 食材費は誰がつくってもある程度かかります。何が違うかというと味付けと盛り付けです。月々450円出すだけで、なだ万の料理長さんが自分の為に料理をつくってくれる。美味しい料理があれば、勿論自分でも嬉しいし、会話が弾むし、話題も広がります。一定規模のコミュニティになれば、コストを抑えつつ我慢しないで満足感のある生活を実現できます。セキュリティについても同じことがいえます。通常一軒家で警備員をひとり雇った場合、その警備員の年収が500万円なら500万円まるまる必要になります。でも皆で住んで、その周りを警備してもらうということにすれば、先程と同じように1人月々450円で安心を買うことが出来るわけです。

 ここに移住してくる方々は、これからの長生きのカタチを自ら組み立てていこうという前向きな方々です。だからとても話が合いやすくてスムーズに友人関係を構築できます。例えば60歳で友だちを100人に増やす。そうするとそれからの30年間がとても楽しくなってくる。移住して今までの暮らしをリセットすることで、新しい友達がすごく増える可能性がでてくるのです。逆に50〜100人の小規模のコミュニティですと、メンバーが固定されてしまいます。あまり相性の良くない人がいたとしても、この先20年〜30年ずっと一緒にいなくてはならなくなる。でも1,000人規模なら、他に人が一杯いるのでその人に会うことなく毎日を過ごすことが可能です。

 例えば、恋愛でも有効ですよ。ここでは毎年200人ずつの方々に移住して頂き、20年位かけて4,000人規模の街をつくろうとしています。そうなると、毎月気になる女性が入ってくるわけです。これは男としては非常にうれしい話ですよね(笑)。その代わり競合する男性も多い。恋敵が出てきて恋路を邪魔するやつが出てきたりするかもしれません。でもそういうことが日常生活を活き活きと暮らすためにとても大切なことなんです。

 普段から早起きの高齢の方に、早起きの理由を聞くと「早く寝てるから」なんだそうです。夜8時に寝ると朝4時に起きてしまう。そして、なぜ夜8時に寝るんですかと聞くと「やることがないから」とおっしゃいます。また、仮にやることがあったとしても毎日のことだからすぐ終わってしまうのだそうです。

 1,000人規模ならいろんなことが起こります。嫌なこともあるでしょうし、解決しなくてはならないこともあるでしょう。でも楽しいこともある。そうすると寝るのが遅くなります。例えばさきほどの恋愛の話になれば、「恋敵のあいつを追い落としてやろう」と思うと、恋愛の本を読んだり、その人の好きなマフラーを買いに行ったり、その為にいろいろインターネットで調べたりもするでしょう。また、その人と話を合わせるために、興味の無いドラマをみて次の日に「あれ面白かったですなぁ」とか言ってみたりするかもしれません。そういういろんなことが起こる状況を作る必要がある。そのための1,000人規模でもあるわけです。

Q:とても魅力的なコミュニティになりそうですね。一方で、このコンセプトを日本に導入する上でのご苦労もあったのではないでしょうか?

 行政の方にご理解を頂くのがなかなか大変でした。前例がないために通常の“老人介護施設”だと定義されてしまうんです。そして、老人介護施設の1,000人以上規模の高齢者が介護費と医療費を使い出せば、市の財政に大きく影響するのではとのご心配もありました。ただアメリカの事例からしても、逆にこうした施設があれば本当に健やかなシニアが増えて介護費や医療費を減らせるはずです。そうしたことを根気よくお伝えしてようやく開発許可がおりました。

 完成後に行政の方々に内覧頂いた時、陶芸教室、シミュレーションゴルフ、卓球、カラオケ、マージャンルーム、バー、さらに「なだ万」さんなども入っているのを見て「山内さん、これいいですね!」と共感を頂きました。やはり“百聞は一見に如かず”とはこういうことなのでしょう、ご覧頂いたことでご理解が広がったように思います。今では市会議員の方々などもご興味を持って頂いて、老人会に所属されている200人位の方々と一緒に見学にお越しくださることも珍しくありません。

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「スマートコミュニティ稲毛」の「竣工ギャラリー」が公開(7/27)されています。上の画像をクリックして、是非その充実した施設機能をご覧になってください。”百聞は一見に如かず”ですよ。

 実は、一般のお客様においても、今まで日本にこういう形態がなかったので、なかなか想像がつかないようです。さきほどのアメリカの“アクティブシニアタウン”ですけど、実は40年前から文化になっていて、3人に1人がこういう生活をしています。アメリカで受け入れられていることは、日本でも広がる可能性があると考えています。ただファーストフードやモータリゼーションなど、アメリカのものをそのまま持ってきて上手くいったものもありますが、そのままではうまくいかない場合も多いと考えています。

 そこで、アメリカのものに対して大きく変えた点が二つあります。一つは“立地”です。アメリカは、シカゴとかニューヨークとか比較的寒いところで経済活動をしていますよね。それでリタイアしたあとはカリフォルニアやマイアミといった暖かい所に移るんだと思うんです。ヨーロッパも同じ傾向があると思います。リタイアした後は地中海の沿岸に移っていきます。

 日本の暖かい所だと、宮崎とか沖縄とかになるわけですが、日本人は欧米人ほど大胆に住処を変えることに慣れていないと思うんです。仮に沖縄で生活を始めたりすると、今までの友だちに会いに行くには飛行機で行かなければいけない。息子娘の家に行くのにも飛行機に乗らなくてはいけない。自分の好きな蕎麦屋さんに行くにも飛行機に乗らなくてはいけない。非現実的なんです。そこで東京から一時間くらいでいけるところを探しました。そうすると、今までの生活を引き継ぎながら次の生活に移っていける。そういうカタチが日本人にとって移住障壁は少ないように思います。

 もう一つ、アメリカのアクティブシニアタウンでは、アクティブじゃなくなったら出て行かなければならないのです。でも日本の場合は終の棲家志向が根強いように思うので、“最後まで安心”して暮らせるシステムにしていこうと考えました。

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